PatreonのCEO、AI企業の「フェアユース」論を「馬鹿げている」と批判、クリエイターは報酬を得るべき

PatreonのCEO Jack Conte氏は、AI企業がクリエイターの作品を無断で訓練に使用しながら「フェアユース」を主張することを「馬鹿げている」と批判し、クリエイターへの正当な報酬支払いを求めた。

AI技術が急速に発展する現在、コンテンツクリエイターとAI大手企業の著作権争いはますます激化している。3月19日、TechCrunchの報道によると、PatreonのCEO Jack Conte氏は、AI企業のいわゆる「フェアユース」論を「bogus(馬鹿げている)」と公然と批判し、AI企業はクリエイターの作品を使ってモデルを訓練する際には報酬を支払わなければならないと主張した。この発言はAI業界の痛いところを突き、広く注目を集めている。

PatreonのCEOの強硬な表明

Patreonの創設者兼CEOであるJack Conte氏は、ミュージシャンとしてキャリアをスタートし、クリエイターエコシステムを熟知している。彼は最近のインタビューで、OpenAIやStability AIなどのAI企業が、大規模言語モデル(LLM)や生成AIの訓練のためにインターネット上のクリエイターコンテンツを大量に収集しながら、米国著作権法の「フェアユース(fair use)」を盾に責任を逃れていると述べた。Conte氏は、AI企業がすでにニューヨークタイムズやAxel Springerなどの大手出版社に数億ドルのライセンス料を支払っている時点で、この弁護は瞬時に崩壊すると鋭く指摘した。

「彼らのフェアユース論はbogus(馬鹿げている)です。大手出版社にコンテンツライセンス料を支払っている時点で、これらのデータが無料で使用できるものではないことを証明しています。クリエイターも同じ扱いを受けるべきです。」——Patreon CEO Jack Conte

世界をリードするクリエイター向けサブスクリプションプラットフォームとして、Patreonは25万人以上のクリエイターを擁し、月間アクティブユーザーは800万人を超える。そのビジネスモデルはクリエイターとファンの直接的なつながりに依存しており、Conte氏の表明は間違いなくプラットフォームユーザーのために声を上げ、クリエイターの権利を守るものだ。

編集者注:AI「フェアユース」弁護の論理的欠陥

AIテクノロジーニュースの編集者として、我々はConte氏の見解が的を射ていると考える。米国の「フェアユース」原則は本来、教育や批評などの非商業的用途のために設計されたもので、使用の性質、作品の種類、使用量、市場への影響という4つの要素を考慮する。AI企業はモデル訓練を「変革的使用」と主張しているが、出力されるコンテンツは元の作品の市場と直接競合し、クリエイターの収入を深刻に損なっている。さらに皮肉なのは、AI大手が法廷で「fair use」カードを切る一方で、出版社と巨額の契約を結んでいることだ。例えばOpenAIとウォールストリートジャーナルの親会社News Corpとの提携がそれだ。これはダブルスタンダードであるだけでなく、露骨な利益計算でもある。将来的には、クリエイターエコノミーが「AI税」や集団ライセンスメカニズムのようなものを生み出し、公正な収益分配を実現するかもしれない。

業界背景:クリエイター vs AI大手の著作権大戦

AI訓練データの著作権紛争は新しい話ではない。2023年以降、多くの訴訟が幕を開けた:ニューヨークタイムズがOpenAIとMicrosoftを提訴し、数百万の記事を許可なく複製したと主張;作家協会がAnthropicを集団提訴し、ChatGPTモデルが数千冊の書籍を「飲み込んだ」と訴え;ビジュアルアーティストがStability AIのStable Diffusionが数億枚の画像を違法使用したと指摘。データによると、GPT-4のようなAIモデルの訓練には数兆トークンが必要で、その多くは公開ウェブ上のクリエイター作品から来ている。

大手出版社とは異なり、Patreon上のイラストレーター、ポッドキャスター、インディーミュージシャンなどの独立クリエイターは交渉力に欠けている。彼らの作品はニッチかもしれないが、AIモデルの「ロングテールデータ」基盤を構成している。Conte氏は、Patreonがウォーターマーク追跡やライセンス契約などの技術的解決策を模索し、クリエイターがAI使用を追跡し利益を得られるよう支援していることを強調した。

AI企業の反撃と二重基準

AI企業は、公開データの収集は「フェアユース」に合致し、検索エンジンのインデックス化行為に類似していると主張している。Googleはかつてこれで権利侵害訴訟に勝訴したが、AI生成コンテンツはより代替性が高い。OpenAIのCEO Sam Altman氏は「将来的にクリエイターに報酬を支払う必要がある」と公に認めているが、具体的な行動は約束していない。対照的に、Adobe Fireflyなどのモデルはすでにライセンスデータ訓練に移行し、好評を得ている。

最近の動向は業界の分化が加速していることを示している。2026年初頭、EUの「AI法」は高リスクAIに訓練データソースの開示を要求し、米国議会も「帰属なし生成」に関する立法を検討している。Patreonの立場は、SubstackやOnlyFansなど、より多くのプラットフォームがクリエイター同盟を形成することを促すかもしれない。

クリエイターエコノミーへの深遠な影響

AI時代において、クリエイターは二重の課題に直面している:一方では、MidjourneyがデザインをサポートするなどAIツールが生産性を向上させ;他方では、大量の模倣品が氾濫し、オリジナル作品の価値を希薄化している。Statistaのデータによると、2025年の世界のクリエイターエコノミーの規模は5000億ドルを超えるが、AIが侵食する収益の割合は15%に上昇している。Conte氏は「データ市場」の構築を呼びかけ、クリエイターが自発的にAI使用を許可し、使用量に応じて収益を分配できるようにすることを提案している。

Patreonはすでにパイロットプロジェクトを開始し、AI新興企業と協力して「クリーンなデータ」セットを提供し、収益を共有している。これはユーザーを保護するだけでなく、新たな収益源を開拓している。将来を展望すると、AI企業が主動的に補償しない場合、集団訴訟の波は避けられず、業界はルールの再構築を余儀なくされるだろう。

結論:公正な補償はAIの持続可能な発展の礎

Jack Conte氏の「bogus」という言葉は鋭いが、クリエイターの心の声を代弁している。AIはゼロサムゲームではなく、ウィンウィンのエコシステムであるべきだ。データの価値を認め、合理的な報酬を支払うことでのみ、AIは「泥棒」から「パートナー」へと変わることができる。クリエイターの皆さん、行動を起こそう!

(本文約1050字)

本記事はTechCrunchからの編訳、著者Sarah Perez、原文日付2026-03-19。